令和5年度 福西会病院 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 0 19 85 122 154 228 357 815 1066 546
当院で令和5年4月1日~令和6年3月31日までに退院された患者さんの数になります。年齢を10歳単位で分けて集計しています。
退院患者さんの合計は3,392人でした。70歳以上の患者さんが全体の72%を占めており、半数以上がご高齢の患者さんとなっています。
当院の位置する福岡市早良区は、福岡市7区の中で面積が一番広く北から東方面は都心寄りで、南西部は佐賀県境の山地があり、ふもとには田園風景が広がります。当院は同区のほぼ中心にあり、比較的高齢者の方が多い地域にあたるためと考えます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 17 19.00 13.52 5.88% 81.71
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 16 18.56 20.60 18.75% 78.19
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2 - 1あり
100380xxxxxxxx 体液量減少症
180010x0xxx0xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2なし
 当科では、内科疾患に幅広く対応しています。症例数は数多くありませんが、基本的に早期退院を目標としています。当科で扱っている上位5疾患を見ると、高齢者が多く、一部平均在院日数が長くなっている診断群もありますが、全国平均と遜色ないか、短い日数で退院できています。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
呼吸器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 62 24.56 20.60 43.55% 85.44
0400801499x012 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 重症度等A-DROP スコア2 17 22.29 18.22 11.76% 84.94
040120xx99000x 慢性閉塞性肺疾患 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 15 20.67 13.70 20.00% 78.07
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 14 7.79 9.54 0.00% 39.43
0400801499x011 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 重症度等A-DROP スコア1 11 25.55 16.83 9.09% 85.27
 昨年度と比較し、入院患者数は増加しています。疾患の内訳としては誤嚥性肺炎が更に多くなり、気胸を除いては平均年齢も上昇しています。誤嚥性肺炎の方は嚥下訓練継続等の目的で転院を要することも多く、入院期間がやや長い傾向にあります。誤嚥性肺炎の他にも、気胸や慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎等の診療にも積極的に取り組んでおります。近隣の医療機関と連携を図りつつ地域医療に貢献したいと考えております。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし
080250xx9701xx 褥瘡潰瘍 手術あり 手術・処置等1なし 手術・処置等2あり
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし
080250xx99x0xx 褥瘡潰瘍 手術なし 手術・処置等2なし
080250xx99x1xx 褥瘡潰瘍 手術なし 手術・処置等2あり
 当院は、難治性褥瘡に対して積極的に局所陰圧閉鎖療法を行っており、約4週間の加療期間を要しています。また、感染を伴っている症例も多くあり、デブリードマンや感染コントロールに時間を要する症例も多いです。
 当院は、施設からの依頼が多く、処置が簡略化した状態でないと施設に戻れない症例が多い事も影響していると思われます。しかし、満足いただける加療ができているかと思います。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 199 31.65 25.50 54.27% 84.43
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 49 20.18 19.34 63.27% 81.86
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし 16 14.06 4.76 0.00% 61.13
160820xx02xxxx 膝関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 15 64.00 28.17 20.00% 72.00
160980xx99x0xx 骨盤損傷 手術なし 手術・処置等2なし 15 29.67 19.27 60.00% 77.87
 当院の整形外科では主に高齢者の骨折や外傷が多くなっています。
 内訳で最も多いのが、①股関節周囲の骨折です。当院では受傷後なるべく早期に骨接合術を行っており、更に人工骨頭置換術や人工股関節置換術も積極的に行っております。術後は翌日からリハビリを開始しておりますが、患者さん自身のリハビリの進捗状況や合併症がないことなどを確認してからの退院や転院としておりますので、平均在院期間は全国平均より長くなっております。
 また、②胸椎、腰椎以下骨折損傷、④骨盤損傷の方についても同様で患者さん自身のリハビリの進捗状況などを確認してからの退院や転院としていますので、平均在院期間は全国平均より長くなっております。
 ③前腕の骨折、④膝関節周辺骨折は若年者も高齢者ともに多い骨折ですが、多くの場合自宅退院を目標として手術後リハビリを行いますので、平均在院期間は全国平均より長くなっております。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 20 19.55 8.38 15.00% 78.05
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 19 21.11 9.88 10.53% 83.11
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし
010010xx9900xx 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし
 頭部外傷で手術を必要とせず保存的利治療を行った患者さんの多くは高齢者の方であり、転倒や交通事故による頭部打撲が主たる原因でした。外傷による頭蓋内出血で手術を要した事例は、いずれも慢性硬膜下血腫によるものでした。
 非外傷性の頭蓋内出血としては、高血圧に起因する脳出血がほとんどでした。
 脳腫瘍で入院加療を行ったケースは、他院での手術あるいは放射線治療後であり、化学療法及びリハビリテーションを実施した患者さんでした。
 当院における脳神経外科の入院患者さんは、後期高齢者が多く、全身状態が悪化しやすく、総じてリハビリテーションにも期間を要することから、在院に数が全国平均に比して長くなりました。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
肛門科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060235xx97xxxx 痔瘻 手術あり 91 6.24 5.71 0.00% 42.91
060241xx97xxxx 痔核 手術あり 52 8.56 5.41 0.00% 53.12
060230xx97xxxx 肛門周囲膿瘍 手術あり 34 8.21 8.23 0.00% 46.09
060220xx97xxxx 直腸脱、肛門脱 手術あり 18 12.00 8.62 0.00% 80.78
060260xx97xxxx 裂肛、肛門狭窄 手術あり 11 6.09 7.15 0.00% 52.55
当院における手術件数が最たるものは痔瘻根治術(複雑なもの)、次いで痔核手術、肛門周囲膿瘍切開術、直腸脱手術、痔瘻根治術(単純なもの)の順となっています。
最多の痔瘻根治術(複雑なもの)は殆ど他院からの紹介患者で再発、免疫抑制剤、抗癌剤内服といった難治症例や全身状態に問題のある症例が多いです。そのため当院では術式に工夫しており患者の全身状態に応じた手術を行っています。(括約筋損術、Seton術など)しかし、その殆どで行う術式は括約筋温存術(2段階離断法)ですが、良好な成績を修めており失禁などのQOLを損なうような合併症は皆無です。通常パスで行っており術後4日で退院としています。
痔核手術(硬化療法を伴わないもの)は近年件数が増加しています。従来の切除(LE)は、疼痛、出血、機能低下といった合併症はある一定の確率で併発するため、当院では嵌頓痔核や裂肛が付随する痔核以外はACL(つり上げ固定術)を第一に選択としています。切除を行う場合でも、術後疼痛が少なくて済むように術式を工夫した切除を行っています。ACLは剥離操作のみで肛門上皮の切除はなく筋組織の損傷もないため、痛みもなく術後の再発は認めていません。ただ痔核の場合、日常の排便習慣が原因となっていることが殆どのためしばらく外来にて排便指導や薬剤によるコントロールを行います。
痔瘻、痔核、膿瘍、裂肛(肛門狭窄含む)の転院率は0%です。
放射線科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160600xxxxxxxx 四肢血管損傷
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) その他の手術あり 手術・処置等2なし
060050xx99000x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし
060300xx97100x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む。) その他の手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし
 肝癌の治療としては内科、外科と協力して手術、肝動脈塞栓術や抗癌剤療法を行っていますが、主に肝動脈塞栓術を施行しています。当院の患者さんは全国平均と比較して高齢の患者さんが多く、若干入院日数が長くなっています。
 また、喀血に対する動脈塞栓術や胃静脈瘤や肝性脳症に対するBRTO(バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術)や緊急血管造影も行っており当科では、良好な治療成績を認めています。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 40 14.00 13.52 15.00% 79.25
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 27 2.11 2.44 0.00% 76.07
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 17 7.65 6.85 0.00% 76.06
11012xxx99xxxx 上部尿路疾患 手術なし 11 13.00 7.92 9.09% 69.64
11012xxx03xxxx 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)
当科では発熱性尿路感染症の入院患者が最多であり、入院期間は14日程度と全国平均よりやや長くなっていますが、高齢で合併症が多く、ADLも低下している患者様の割合が多いためと考えられます。前立腺の悪性腫瘍に関しましては検査のため前立腺生検が最多で1泊2日の入院を行っています。膀胱悪性腫瘍に関しては経尿道的膀胱腫瘍切除術が多く、入院期間は7日前後です。結石性腎盂腎炎に関しては、必要に応じて尿管ステント留置を行います。尿路結石に対する体外衝撃波結石破砕術に関しては原則として外来で行っていますが、患者様の状態や希望で入院にて行うこともあります。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 69 18.77 17.38 11.59% 85.06
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1,2あり 手術・処置等2なし 59 3.93 4.26 0.00% 73.75
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29 9.21 11.54 3.45% 72.10
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 - 1あり 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外 29 2.17 3.05 0.00% 68.86
050210xx97000 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1なし、1,3あり 手術・処置等2なし 定義副傷病名なし 24 8.00 9.77 0.00% 84.58
心臓の不調が原因で、体がむくむ状態が心不全です。高齢者人口の増加に伴い、同疾患の平均年齢も上昇続け、今年度は85歳を超えるに至りました。当診療科の入院の重要な疾患です。薬物療法・リハビリなどの医学的治療に加えて、退院支援看護師やソーシャルワーカーなどと相談しながら退院後の環境調整や生活支援などにつなげています。
狭心症と心筋梗塞は心臓を栄養する血管の動脈硬化によって引き起こされる一連の疾患群です。特に、急性心筋梗塞や不安定狭心症はカテーテルによる手術が必要なことが多く、来院から出来るだけ短期間に手術につなげることで、患者さんの予後の改善、ひいては入院期間の短縮に努めております。
徐脈性不整脈は、脈をつくりだす源の不調、脈を伝える電気信号の断絶で脈が遅くなることで、心不全・意識障害などを引き起こす疾患です。高齢者に多い病で、その治療には、ペースメーカーの植え込み手術が必要となることが多いです。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2 - 1あり 17 28.65 13.81 0.00% 74.47
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 重症度等他の病院・診療所の病棟からの転院以外
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし
100393xx99xxxx その他の体液・電解質・酸塩基平衡障害 手術なし
 慢性腎臓病の保存期の患者さんには血圧管理や血糖管理、栄養管理指導等を行い、食事療法や薬物療法を主とした多方面より加療を行っております。ご高齢の患者さんは尿路感染症の合併も多く、抗菌薬加療を行っております。
 腎代替療法が必要な慢性腎臓病ステージG5の方には、血液透析、腹膜透析、腎移植を提案させていただき、患者さんの希望される治療方法を共に検索し、お身体に負担のない治療を選択させていただきます。腎炎やネフローゼを疑う症例に対しては、高度医療機関と密に連絡を取り合い、検査方針、治療方針を決定しております。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060102xx99xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 49 10.59 7.58 2.04% 65.76
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2なし 32 9.34 5.64 0.00% 70.53
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 29 3.59 2.61 3.45% 70.76
060102xx02xxxx 穿孔又は膿瘍を伴わない憩室性疾患 小腸結腸内視鏡的止血術等 25 10.72 9.32 0.00% 74.32
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等2なし 25 9.84 10.92 4.00% 72.60
 当院でみる大腸の憩室炎はひどくなってから受診される方も多いため、その分炎症が改善するまで入院期間が長くなることがあります。
急性腸炎は症状がひどい場合や、経口摂取ができない場合は入院治療の対象となります。
当院では高齢者の方も多いため体調が回復するまでに少し時間がかかることが多いようです。
大腸ポリープ切除は小さなものの場合は入院は必要ありません。大きなものの場合に切除した部位からの出血や、穿孔のリスクがあるためポリープの大きさや個数により1日から数日入院で経過をみています。
腸からの出血も内視鏡を用いて止血治療を行いますが中高年の方の場合、抗凝固薬を服用していることも多く、なかなか出血源が見つからない場合や再出血を起こすこともあり、その場合は入院期間が少し長くなります。
入院が必要となる胃・十二指腸潰瘍の患者さんは、潰瘍からの出血や大きな潰瘍であるため安全な状態になるまでに少し時間がかかりますが、長期入院となることはほとんどありません。 
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 56 12.45 8.75 1.79% 75.84
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 44 5.73 4.55 0.00% 68.93
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 33 8.00 5.98 3.03% 64.03
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 31 10.58 6.87 3.23% 64.06
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 24 5.83 5.29 0.00% 43.79
直近1年間で入院治療を行った疾患で最も多かったものは胆管炎です。原因の多くは胆管結石や腫瘍です。内視鏡的に胆管結石除去およびドレナージを行いますが、高齢者が多く、また同じ入院期間で複数回の内視鏡処置が必要になる患者さんが多いため、在院日数が長くなる傾向にあります。次に多い疾患はヘルニアと胆嚢炎(胆石症)です。手術治療は9割以上で腹腔鏡下手術(低侵襲手術)を行っており、クリニカルパスという治療スケジュールを利用できた患者さんは概ね予定期間内に退院できています。しかし、地域の特性上、高齢で併存疾患のある患者さんは治療期間が長くなっております。虫垂炎もほぼ全例で鏡視下手術が行われており、合併症なく早期退院に寄与しております。
全ての疾患において短期入院と早期社会復帰が理想ですが、特に高齢患者さんにおいては様々な併存疾患を有する場合が多く、また介護の問題により長期入院を余儀なくされる方も多いために平均在院日数が全国平均よりも長くなる傾向にあります。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 10 7 6 3 1 8版
大腸癌 3 15 18 23 2 1 1 8版
乳癌
肺癌 5 2 1 1 8版
肝癌 3 2 2 2 1 4 1 8版
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
当院では5大癌(胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌・肝癌)のうち乳癌以外の全てに標準治療体制を整えています。
病期分類とは、癌の大きさと拡がりのある程度、リンパ節転移、遠隔転移の有無によりステージⅠ~Ⅳまでを分類するもので、ステージⅣが最も進行した病態を表します。当院の集計では、特に胃癌においては2次検診の導入がステージⅠの早期がん発見に寄与している可能性が示唆されました。それに対して大腸癌の多くはステージⅡ以上の進行癌であり、胃癌に比べると検診や内視鏡検査の普及が遅れていることが推測されます。治療法は手術や化学療法が主ですが、専門医チームによる詳細な検討により、個々の症例に最適な治療法を選択しています。
全国的に見ても大腸癌の手術治療は他癌腫と比較し多く、当院でも大腸癌の手術症例が最も多くなっております。肺癌は発見時にステージⅣと高度に進行しているケースが多く、その結果手術件数も少なくなります。
また、肝臓癌に関しては全てのステージを合計して10症例程度ですが、手術可能な症例に対しては積極的に手術治療を行っています。
当院ではステージⅣの最も進行した癌に対しても患者さんの背景やご希望に応じて可能な限り手術と化学療法による積極的治療を行う方針としています。化学療法に関しては治療ガイドラインに準じた最新の標準治療を行っており、医師、緩和ケア認定看護師、薬剤師とともに副作用対策も含めたチーム医療を実践しています。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合

成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 18 9.44 56.56
中等症 79 17.76 79.52
重症
超重症
不明
市中肺炎の重症度の指標となっている「A-DROP」を使用して重症度を算出しており、0点が軽症、1~2点が中等症、3点が重症、4~5点が超重症に位置付けられます。入院患者の大部分は中等症以上で、中等症以上ではご高齢の方が多くなっています。嚥下訓練を含むリハビリテーションを要する方が多く入院期間がやや長くなっておりますが、周辺の療養型病院や施設との連携により、より早期の退院を目指す方針です。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 88 21.56 79.41 38.64%
その他 15 19.80 74.80 26.67%
脳梗塞(アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞、ラクナ梗塞等)症例は103例でした。令和5年度は、脳神経内科の医師が3名体制に増員されたので、前年度の75例より症例数が増加しています。脳梗塞は発症後も進行し、3日~5日後に最も悪くなるケースが多いです。発症後より数時間は超急性期に当たります。そのような患者さんが受診され当院で対応できない場合は、治療が可能な高次機能病院へ転院搬送することがあります。当院では急性期以降は対応可能です。脳梗塞は発生機序により治療が変わるため、まず原因精査を行います。
 また、脳梗塞の症状を回復するため、早期から積極的なリハビリテーションを行います。回復に時間を要する場合は、当院にある急性期を脱した患者さんが継続して治療を行う地域包括ケア病棟へ転棟していただいたり、他の回復期リハビリテーション病院へ転院していただいたりするケースがあります。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 16 3.40 4.53 0.0% 41.9
K509-4 気管支瘻孔閉鎖術
K513-2 胸腔鏡下良性縦隔腫瘍手術
K513-4 胸腔鏡下肺縫縮術
K504-2 胸腔鏡下縦隔悪性腫瘍手術
症例数の最も多い胸腔鏡下肺切除(肺嚢胞手術)は気胸に対して行う手術であり、肺嚢胞が破れて胸腔内に空気が漏れて肺が縮んで胸痛、呼吸苦などの症状がみられます。この疾患に対し内視鏡を用いて破れた肺を完全に修復する手術で、当院ではクリニカルパス(注)8日間をすべての症例に使用して術後5日以内の退院を達成しており自宅復帰率は100%です。
 内視鏡手術は皮膚に1cmの切開を3ヶ所開けるだけで行いますので、術後の痛みも少なく創部も目立たないため美容面でも大きなメリットがあります。肺がんおよび縦隔腫瘍に対しても同様にクリニカルパスと内視鏡切除を行い、こちらは術後8日以内での社会復帰が可能となっております。
※クリニカルパス・・・疾患別に入院中に行われる検査、治療などの医療行為や患者さんの療養に関するスケジュールを予め計画したもの

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(上腕、大腿) 135 2.61 30.66 44.44% 83.21
K0811 人工骨頭挿入術(股) 80 3.61 24.91 63.75% 85.19
K0462 骨折観血的手術(下腿、上腕) 23 4.61 37.43 0.00% 63.13
K0463 骨折観血的手術(鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨除く)、足、指(手、足)、その他 22 3.64 32.45 4.55% 66.45
K0483 骨内異物(挿入物を含む。)除去術 17 1.00 3.47 0.00% 61.35
当院では、大腿骨や上腕骨の骨接合術と人工骨頭置換術+人工股関節置換術が多数を占めます。その他、四肢の骨折の件数も多く、高齢者の骨折治療が主となっています。特に人工骨頭は高齢者の筋力維持と高い脱臼抵抗性を獲得するために筋肉を極力残す方法で手術を行っており、更に活動性の高い方には積極的に人工股関節置換術を行っています。元々、高齢者は持病を持っている方が多く、術前に全身状態が手術に耐えられるのかをしっかり確認して手術を行っているため、術前検査とその治療に日数を要す場合があります。術後も早期にリハビリを開始しますが、患者さん自身のリハビリの進捗状況や合併症が無いことなどを確認してからの退院や転院としていますので、平均在院期間は全国平均より長くなっております。
 また、基本的には自宅退院や元々の生活の場所に退院することを目標としていますが、リハビリの進行具合を見て近隣の病院への転院をお願いすることもあります。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 10 1.70 23.40 0.00% 83.5
脳神経外科の手術はいずれも慢性硬膜下血腫の血種洗浄術でした。
慢性硬膜下血腫は頭部打撲や抗血栓材服用中に発症することの多い疾患です。高齢者に多くみられます。歩行障害や認知症様の症状を呈することが多く、頭部CTやMRI等の画像診断の普及で、比較的早期に発見されることが多くなってまいりました。
肛門科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7462 痔瘻根治手術 複雑なもの 106 6.24 4.40 0.00% 43.07
K7434 痔核手術(脱肛を含む。) 根治手術(硬化療法(四段階注射法によるもの)を伴わないもの) 42 8.56 6.24 0.00% 51.38
K745 肛門周囲膿瘍切開術 19 8.21 5.58 0.00% 44.68
K7421ロ 直腸脱手術 経会陰によるもの 腸管切除を伴うもの 18 12.00 9.89 0.00% 80.78
K744 裂肛又は肛門潰瘍根治手術
当院における手術件数が最たるものは痔瘻根治術(複雑なもの)、次いで痔核手術、肛門周囲膿瘍切開術、直腸脱手術、痔瘻根治術(単純なもの)の順となっています。
最多の痔瘻根治術(複雑なもの)は殆ど他院からの紹介患者で再発、免疫抑制剤、抗癌剤内服といった難治症例や全身状態に問題のある症例が多いです。そのため当院では術式に工夫しており患者の全身状態に応じた手術を行っています。その殆どで行う術式は括約筋温存術(2段階離断法)ですが、良好な成績(再発1%)を修めており失禁などのQOLを損なうような合併症は皆無です。通常パスで行っており術後4日で退院としています。
痔核手術(硬化療法を伴わないもの)は近年件数が増加しています。従来の切除(LE)は、疼痛、出血、機能低下といった合併症はある一定の確率で併発するため、当院では嵌頓痔核や裂肛が付随する痔核以外はACL(つり上げ固定術)を第一に選択としています。切除を行う場合でも、術後疼痛が少なくて済むように術式を工夫した切除(LE変法)を行っています。ACLは剥離操作のみで肛門上皮の切除はなく筋組織の損傷もないため、痛みもなく術後の再発は認めていません。ただ痔核の場合、日常の排便習慣が原因となっていることが殆どのためしばらく外来にて排便指導や薬剤によるコントロールを行います。
痔瘻、痔核、膿瘍、裂肛(肛門狭窄含む)の転院率は0%です。
尚当院ではいずれの手術も、退院日を過ぎても療養を希望される場合入院の延長は可能です。


※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
放射線科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 止血術
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) 選択的動脈化学塞栓術
K6154 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等) その他のもの
K668-2 バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術
当科で行っている血管塞栓術とは鼠径部にある動脈から肝癌へ栄養を送る血管までカテーテルを挿入し抗癌剤、塞栓物質を用いて塞栓を行い癌への栄養の供給をストップする手術となっています。
通常は肝機能が改善すると退院可能となりますが、術後の合併症により退院が延長されることがあります。また、年齢の若い方に比べ高齢者の方は退院まで多少時間がかかります。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(その他) 19 14.00 7.84 10.53% 76.16
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 13 2.11 5.08 7.69% 62.08
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)
K8412 経尿道的前立腺手術 その他のもの
K841-6 経尿道的前立腺吊上術
当科で最も多い手術は、膀胱癌に対する経尿道的膀胱腫瘍切除術でクリニカルパスを使用し、入院期間の短縮に努めていますが、合併症が多い患者様が多く、さらに抗血栓薬を内服している割合も多いため、退院までに日数が長くなることもしばしばあります。
尿路結石に対しては体外衝撃波腎・尿管結石破砕術を基本的に外来で行っていますが、症状に応じて入院で行うこともあります。結石のサイズによっては経尿道的尿管結石除去術を行っています。経尿道的尿管ステント留置術は主に閉塞性腎盂腎炎、尿管狭窄に対して行っています。前立腺肥大症に関しては、これまで経尿道的前立腺切除術を主に行ってきましたが、これまで全身状態不良や抗血栓薬を中止できないなどの理由でできなかった患者様に対して新たに導入した経尿層的水蒸気治療を行っています。この手術法は入院期間の短縮にも多いに寄与していると思われます。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 48 2.71 3.42 4.17% 75.06
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 20 0.00 6.60 0.00% 73.80
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 17 0.00 9.53 0.00% 70.18
K5463 経皮的冠動脈形成術 その他のもの 15 2.93 5.53 0.00% 75.53
K597-2 ペースメーカー交換術 12 0.58 4.00 8.33% 83.33
当科での手術の上位4つの経皮的冠動脈ステント留置あるいは形成術は、心臓を栄養する血管(冠動脈)の動脈硬化により冠動脈が狭窄(あるいは途絶)し引き起こされる狭心症や心筋梗塞に対する治療法です。主に手首を局所麻酔し、動脈からカテーテルという細い管を冠動脈まで到達、挿入し、風船や細い金属の管を用いて、細くなった(あるいは詰まった)血管を治療する内科的な手術です。特に心筋梗塞は致命的な疾患で、その予後改善のため来院から治療を可能な限り早くすることに日々努力しております。
ペースメーカー交換術は、ペースメーカー埋め込み治療を行われた患者さんで7-10年程度期間が経過しますとバッテーリーが消耗するので、交換が必要になります。従来、1週間ほど術後入院が必要でしたが、埋没縫合とすることで、感染を防ぎ、早期退院可能となりました。
腎臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純)
K616-42 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(1の実施後3月以内に実施)
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回)
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術
当科では、腎代替療法の導入を行っており、血液透析を選択された患者さんには必要に応じて内シャント造設術や長期留置型カテーテル挿入術等を施行しております。腹膜透析導入時には、腹膜透析カテーテル挿入術を施行しております。
シャント作製後は、数日で退院となり、外来通院時に抜糸を行っておりますが、ご高齢の患者さんや視力の悪い患者さん等、自宅での創部消毒処置が困難な場合は、抜糸まで入院を継続していただき、その間に合併症に対する精査を行っています。そのため入院期間が長期化する場合もございます。抜糸までの目安は約2週間です。
維持血液透析中の患者さんのバスキュラーアクセス管理を行っております。定期的なシャントエコーにて評価を行い、必要時にはカテーテルを用いてシャント狭窄を改善させる経皮的血管内拡張術を行います。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 長径2cm未満 41 2.37 6.56 9.76% 74.76
K722 小腸結腸内視鏡的止血術 32 0.75 8.66 3.13% 75.03
K654 内視鏡的消化管止血術 29 0.28 7.45 3.45% 71.31
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 15 1.13 10.67 13.33% 76.53
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 早期悪性腫瘍胃粘膜下層剥離術 12 1.25 5.75 0.00% 78.92
通常、内視鏡で行う大腸ポリープ切除は受診当日は行いません。治療の前にまず大腸から便を出してしまう準備が必要です。小さなポリープ切除の場合は当日に帰宅できますが、大きなポリープの場合は切除後の出血や穿孔のリスクがあるため短期間の経過観察入院を行っています。早期胃癌や胃ポリープは内視鏡で切除することができます。切除後に出血がないことを確認し短期間で退院し、外来で経過をみていきます。吐血や下血の場合は基本的に24時間体制で、当日に緊急内視鏡を行い止血治療を行っています。止血治療後に食事を再開し再出血なければ短期間で退院ができます。肝機能障害で紹介される患者さんの中で胆管胆石による炎症を起こしている場合には、まず胆管の詰まりをとるためステントというチューブを挿入する治療を行います。状況により繰り返し治療を行う場合は、少し入院期間が長くなることがあります。また高齢者が多いため治療後の療養のため紹介元へ転院となることもあります。
消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 71 2.89 6.77 2.82% 64.52
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 68 2.57 10.66 5.88% 78.93
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 41 1.17 3.56 0.00% 68.22
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 23 0.35 4.52 0.00% 42.52
K682-3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) 22 1.05 16.64 9.09% 78.09
消化器外科治療の中で最も多いものは、胆嚢結石症や急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術です。特に緊急性の高い急性胆嚢炎症例に対しては、迅速な診断と早期手術が可能な体制を整えており、良好な術後成績が得られています。
次いで件数の多い手術は、内視鏡的胆道ドレナージ術(内視鏡的胆道ステント留置術と内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術を併せたもの)です。これは総胆管結石症や胆管炎に対する内視鏡治療です。高齢者に多い疾患であることや、疾患の性質上、複数回の治療が必要となることが多く、入院期間も他疾患に比べ長い傾向にあります。
 3番目に多い手術は、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は鼠径ヘルニアに対する低侵襲手術です。腹腔鏡による精密な手術で再発率の低下と早期退院に繋がっています。
虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術も当院では標準術式として行っております。低侵襲で手術時間も短いため、早期社会復帰ができております。
以上、胆嚢摘出術、鼠径ヘルニア根治術、虫垂切除術に関しては、クリニカルパスという定型化された治療スケジュールを導入しており、治療法の均一化を図ることで入院期間の短縮と治療の安全性を高めています。
その他、データに示す以外に、胃がん、大腸がん、膵臓がん、肝臓がん、胆管がんに対しても専門医による治療体制を整えています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 10 0.52%
異なる 16 0.63%
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一
異なる
播種性血管内凝固症候群は、悪性腫瘍や感染症等、何らかの病気や外傷が先にあり、それがきっかけとなり体内のいたるところで血が固まって血栓ができ、同時に血が止まらなくなる病気です。昨年度は敗血症性ショックで入院してきた患者さんが播種性血管内凝固症候群も併発していた重症症例が1例ありました。
 敗血症とは細菌感染によって全身炎症反応が起こり、これによって重要な臓器の障害が引き起こされる病態です。誤嚥性肺炎、急性胆管炎等の疾患が契機で入院してこられた患者さんのうち、重篤化し敗血症に至るものや敗血症の患者さんが緊急入院し、そのまま敗血症の治療をするケースもあります。
 手術・処置等の合併症の症例としては、創部の感染等が主な原因となっています。主疾患が重篤である一部の患者さんから発生しているケースが多いです。臨床上、発生率を「0」にすることは非常に難しいですが、当院ではその発生を防ぐため厳重な対応をしています。

※(-)ハイフン・・・10症例未満である場合

リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
432 184 42.59%
「肺血栓塞栓症とは、術後の安静や長期臥床により血液のめぐりが悪くなることでできた血栓(血のかたまり)が、血液の流れに乗って肺の血管で詰まってしまい(塞栓)、突然の呼吸困難や胸痛などを来す危険な病気であり、発症予防が重要です。
我が国の肺血栓塞栓症が発症した場合の死亡率は14%と報告されており、死亡例の40%以上が発症1時間以内の突然死であるとされています。」(※)

当院では「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン」(2017年改訂版)を遵守し、適切な管理を心掛けております。
術後の肺血栓塞栓症の原因である下肢深部静脈血栓症の危険因子として、①寝たきり状態、②手術時・手術後、③脱水、④高齢、⑤高度肥満、⑥喫煙、⑦妊娠、⑧心臓疾患・脳卒中・悪性腫瘍の既往、⑨先天的な血液凝固異常、⑩血栓症の既往などが挙げられます。
肺血栓塞栓症の予防としては、早期歩行および積極的な運動、弾性ストッキング・弾性包帯、間歇的空気圧迫法、抗凝固剤療法があります。
上記ガイドラインに従い、患者さん個人の危険因子(リスクレベル)に応じて検討し、選択・対応を行っております。
令和5年度の当院での予防対策実施率は、42.59%と全病院での平均値(84.3%)より低い結果となり、今後も上記ガイドラインに基づき、更なる肺血栓塞栓症予防の徹底に努めて参ります。
※肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2017年改訂版)より引用
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1474 1353 91.79%
広域抗菌薬を使用する際、投与開始時に血液培養検査を行うことは望ましく、血液培養は偽陽性を防ぐため、2セット以上行うことが推奨されています。本指標は、血液培養を行う際に2セット以上の検査が実施された割合を示しています。
当院と同規模病院の全国平均値は、81%前後です。当院は91.8%と高い実施率を維持し、適切に抗菌薬治療を行っているといえます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
346 468 73.93%
近年、多剤耐性菌やカルバペネム系抗菌薬に耐性のある細菌など、新たな耐性菌が出現し、世界的な問題となっています。抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。本指標は、適切な抗菌薬使用のための検査が実施された割合を示しています。
当院と同規模病院の全国平均値は、61~65%前後です。当院は73.9%と高い実施率を維持し、適切に広域スペクトル抗菌薬治療を行っているといえます。
更新履歴
2024/09/27
病院情報を公開しました。 > 令和4年度の「病院指標」はこちらからご覧いただけます。