平成28年度 福西会病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞のICD10別患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 0 43 93 111 160 223 590 856 1,069  506
 当院を平成28年4月1日~平成29年3月31日までに退院された患者さんの数になります。年齢を10歳単位で分けて集計しています。
 退院患者の合計は3,651人で、平均年齢は72.9歳でした。70歳以上の患者さんが全体の66%を占めており、ご高齢の患者さんが多い病院といえます。
 当院の位置する福岡市早良区は、福岡市7区で4番目に人口が多い地域となっています。地理的にいえば縦に長く、北から東方面は都心寄りで、南西部は、佐賀県境の山地が近く、田園風景が広がります。当院は同区のほぼ中心にあり、比較的高齢者の方が多い地域にあるためと考えます。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器内科・外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病無し 53 27.45 21.25 41.51% 87.02
0400801499x002 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 36 18.44 13.60 11.11% 84.58
040120xx99000x 慢性閉塞性肺疾患 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 31 21.39 13.85 12.90% 72.74
040040xx99000x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 27 19.30 14.83 33.33% 75.30
0400801499x001 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 23 14.17 13.60 8.70% 85.00
 昨年度に引き続き当院では、誤嚥性肺炎の症例が多くなっています。
 当院の患者さんは非常に高齢であり、在院日数も全国と比べ長期化しています。「誤嚥」とは、食べ物や飲み物、だ液、胃液が誤って気管内に入ることを言います。その飲み込んだものと共に細菌が入り込み、肺の中で細菌が増殖して肺炎を引き起こします。これが「誤嚥性肺炎」です。食べ物や飲み物を飲み込む動作が正しくできない高齢者の方に多い症例であり、治療に時間を要するため在院日数が長くなっていると言えます。ま誤嚥性肺炎の患者さんは、自宅退院が困難であることが多く、転院率も高くなっております。
 その他にも、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や肺癌の治療も多く行っております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節大腿近位骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 163 26.80 27.63 68.10% 83.29 
160690xx99xx0x 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 副傷病なし 93 21.62 20.57 46.24% 81.02
160720xx01xx0x 肩関節周辺の骨折脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 副傷病なし 27 20.19 14.19 14.81% 72.37
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 副傷病なし 25 7.40 5.49 4.00% 62.48
160800xx97xxxx 股関節大腿近位骨折 その他の手術あり 19 25.58 20.64 73.68% 80.26
 高齢者外の治療を多く行っています。
 股関節周囲の骨折が最も多く、その中に大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折などが含まれます。多くの場合、骨折部位とインプラントで接合する手術や人工骨頭挿入術などの手術治療を行っています。次いで、胸腰椎圧迫骨折による入院が多くなっています。圧迫骨折とは、転倒や外部からの圧力がかかり背骨が潰れてしまう症状です。入院中は腰椎装具で固定し、安静を主とします。リハビリテーション病院への転院を積極的に行っているため、平均在院日数は全国平均とほぼ同じ程度となっています。
 前腕骨、上腕骨骨折は、自宅復帰可能までを行っているため、在院日数が少し長めとなっています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 32 11.44 7.52 12.50% 75.06
010040x099x00x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 12 24.17 19.35 33.33% 77.33
010010xx99000x 脳腫瘍 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 10 18.30 11.54 30.00% 67.20
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2-なし 副傷病なし
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2-なし 副傷病なし
 頭部外傷で、手術を必要とせず保存的治療を行った症例が最も多くみられました。平均年齢が75.1歳と高齢ですので、全国平均に比し在院日数がやや長くなりました。
 2番目の非外傷性頭蓋内血腫とは、高血圧性脳内出血やアミロイド脳血症による脳内出血です。平均77.3歳と高齢で、さらに片麻痺や言語障害などの重度障害例が多く、在院日数や転院率が高くなりました。
 3番目の脳腫瘍は、いずれも非手術的治療を行った事例で、化学療法あるいはリハビリテーション目的での入院となったケースになります。

※-(ハイフン)・・10症例未満
肛門外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060235xx97xxxx 痔瘻 手術あり 48 12.63 6.55 0.00% 44.69
060245xx97xxxx 内痔核 手術あり 37 9.76 5.85 2.70% 58.41
060230xx97xxxx 肛門周囲膿瘍 手術あり 24 13.71 8.62 4.17% 47.75
060220xx97xxxx 直腸脱、肛門脱 手術あり 22 24.09 10.15 4.55% 75.59
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 12 10.92 9.08 0.00% 68.92
 痔瘻 手術ありとは、深部痔瘻、多発性痔瘻、膿皮症併存例で、他院からの紹介症例が大部分を占めています。
 内痔核 手術ありとは、抗血栓剤服用例全身麻酔例、心疾患例、透析例の併発疾患が大部分を占めています。
 肛門周囲膿瘍 手術ありとは、膿瘍切開術・痔瘻根治術同時施行やクローン病併存例が多くなっています。
 直腸脱、肛門脱 手術ありとは、再発例や高齢者・ADL低下例が多く、デロルメ法、アルテマイヤー法を施行しています。
 骨盤臓器脱例には、開腹術を施行しています。
 腸閉塞は、糞便によるものが主体となっています。
神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 24 22.17 21.25 20.83% 84.29
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-4あり 副傷病なし 24 13.58 16.54 16.67% 71.25
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 17 15.12 12.43 5.88% 83.24
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 14 6.14 5.24 0.00% 71.79
010061xxxxx0xx 一過性脳虚血発作 手術・処置等2-なし 12 8.75 6.38 8.33% 73.25
 脳梗塞、一過性脳虚血発作で入院する患者さんが最も多くなっております。
 全国平均と比べて平均在院日数は短くなっています。その理由として、入院直後から理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションを開始し、急性期治療が終了し次第、多くが状況に応じた回復期機能を持つリハビリテーション病院などへ転院していることが考えられます。
 神経疾患は、誤嚥性肺炎や尿路感染症を併発することも多く、当科でも対応することが多いです。
 前庭機能障害疾患とは、末梢性めまいやメニエール病などめまいを主訴とする疾患です。入院後は安静にし、点滴治療などを行います。平均で6日程度で退院可能となっています。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xx0x 腎臓または尿路の感染症 手術なし 副傷病なし 43 13.26 12.43 11.63% 78.28
110070xx0200xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 31 7.48 7.44 0.00% 72.16
11012xxx99xx0x 上部尿路疾患 手術なし 副傷病なし 30 3.23 5.25 3.33% 65.10
11022xxx99xxxx 男性生殖器疾患 手術なし 12 7.17 8.83 0.00% 76.67
110060xx99x20x 腎盂・尿管の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2-2あり 副傷病なし 10 3.00 11.71 0.00% 71.80
 最も多い尿路感染症に関しては、夜間の急な発熱にも対応できるよう救急外来で対応、必要に応じて入院対応を行うようにしています。
 膀胱腫瘍による膀胱癌に対する治療は、内視鏡手術をはじめとして進行癌には抗癌剤治療なども行っています。
 上部尿路疾患とは、尿管結石症、結石性腎盂腎炎、腎結石症があります。その中でも多い尿路結石に対しては、疼痛の管理を行いながら、結石の部位によっては、硬性尿管鏡による内視鏡手術を行っています。
 在院日数に関しては、高齢者が多くややばらつきはありますが、全国平均と大きな差はないと考えます。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1-1あり 手術・処置等2-なし 副傷病なし 110 2.60 3.06 1.82% 70.02
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 63 22.05 17.95 11.11% 85.40
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1-なし、1,2あり 手術・処置等2-なし 副傷病なし 51 4.98 4.71 1.96% 71.04
050130xx9901xx 心不全 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-1あり 29 24.55 19.86 13.79% 85.79
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 手術・処置等1-なし、1,3あり 手術・処置等2-なし 副傷病なし 16 13.13 11.38 0.00% 81.13
 当院では、冠動脈造影や下肢動脈造影などカテーテルによる検査を患者さんの状態に合わせて1泊2日、もしくは2泊3日で行っており、短期間での退院が可能です。
 高齢者の心不全入院の割合が高くその分、身体的衰弱からの改善などを目的とする心臓リハビリテーションにかける期間が長くなっており、やや長期間の入院となっています。 
 狭心症に対する経皮的冠動脈形成手術に対しては、3~5泊の入院期間で行っており、全国平均的と考えます。
 心拍数が少なくなり、ペースメーカーが必要な患者さんに対するペースメーカー植え込み手術に関しても2週間以内での自宅退院が可能です。
腎臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x00x 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 13 23.00 21.25 30.77% 82.46
110290xx99x00x 急性腎不全 手術なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし - 
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし - 
050130xx99000x 心不全 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2-1あり
 透析患者さんの高齢化が進み、誤嚥性肺炎などの感染症による入院が増えています。高齢であるため、入院後のADL低下でリハビリを必要とし、入院期間が長くなるケースがみられます。また、季節要因で限定的な見方になりますが、猛暑のため脱水による急性腎不全から入院するケースが多くみられました。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060102xx99xxxx 穿孔または膿瘍を伴わない憩室性疾患 手術なし 26 9.92 7.89 0.00% 67.54
150010xxxxx0xx ウイルス性腸炎 手術・処置等2-なし 24 8.17 5.50 0.00% 57.21
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 手術なし 手術・処置等2-なし 14 16.36 9.19 0.00% 70.14
060100xx99xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 手術なし 14 2.29 3.00 0.00% 71.14
060140xx97x00x 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等2-なし 副傷病なし 14 18.21 10.93 21.43% 75.21
 憩室性疾患とは大腸憩室を指し、大腸の壁の外側に袋状に突出したものです。ここに炎症を起こすと腹痛や発熱の原因となり、また出血し下血の原因となります。単純な腹痛と考えひどくなってから受診されることが多く、その場合入院期間が長くなることがあります。
 ウイルス性腸炎は、高齢者の場合、入院期間が長くなる傾向にありますが、経過は良好で短期入院で済むことがほとんどです。
 虚血性腸炎は、腸を栄養としている血管が詰まり腸の粘膜に潰瘍を作ったり、出血をきたします。年齢による動脈硬化が原因の一つで高齢者が多いため、病状がひどくなることが多く入院期間が長くなっています。
 消化器腫瘍の検査は短期間で行うことができます。胃・十二指腸潰瘍からの出血も多くみられ、内視鏡で止血治療を行っています。高齢者が多く、回復に少し時間がかかっています。
消化器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060335xx02000x 胆嚢水腫、胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 28 10.75 7.61 0.00% 58.93
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1-なし 手術・処置等2-なし 副傷病なし 25 10.92 9.08 4.00% 69.08
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2-なし 副傷病なし 17 13.41 11.06 5.88% 69.65
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 15 6.00 5.60 0.00% 35.93
060150xx02xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴うもの等 12 12.00 9.91 0.00% 53.67
 消化器外科領域では、胆管結石に伴う急性胆管炎に対して内視鏡を用いた胆管結石除去術や胆道ステント留置術を数多く行っています。また、胆石による急性胆嚢炎症例も多く、腹腔鏡による胆嚢摘出術を積極的に行っています。
 腸閉塞症に対しては、イレウス管による保存的治療や手術治療を行います。
 急性虫垂炎に対しても、当院では迅速に対応して手術治療を行っておりますが、膿瘍を伴う虫垂炎に関しては、手術合併症を回避する目的で術前抗菌剤治療を行った後に手術となる症例も増えています。
 これら各疾患においては、基礎疾患をお持ちの高齢者が多数を占めますので、平均在院日数は全国平均よりも若干長い傾向があります。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 16 1 7
大腸癌 12 -  17 1 7
乳癌 1 7
肺癌 27 21 1 7
肝癌 -  1 7
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 5大癌とは、胃癌・大腸癌・乳癌・肺癌・肝癌を指しますが、当院では乳癌以外のすべてに対応できる体制を整えています。
 病期分類とは、腫瘍の深達度、リンパ節転移、遠隔転移の程度により、ステージⅠ~Ⅳまでを分類するもので、当院での癌症例病期分類の内訳では、多くがステージⅢ以上の進行癌で占められています。
 治療法は、内視鏡治療、手術、化学療法などがありますが、専門医による症例検討により、個々の症例に応じた適切な治療法を選択します。
 胃癌・大腸癌に対する手術は、腹腔鏡手術を中心に、肺癌は胸腔鏡手術を中心に行っています。ステージⅣの最も進んだ癌に関しても可能な限り手術と化学療法による積極的治療を行います。化学療法に関しては、各疾患の治療ガイドラインに準じた最新の標準的治療を行っており、医師、緩和ケア認定看護師、薬剤師とともに副作用対策も含めたチーム医療を実践しています。
 病期不明の症例については、初回入院が検査目的のために病期分類が確定していないことがその理由として挙げられます。再発による入院は、肺癌が最多でした。

※-(ハイフン)・・10症例未満
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 20 12.00 51.00
中等症 170 16.48 83.19
重症 31 19.45 88.29
超重症 12 17.08 84.75
不明 - 
 当院では、中等症の患者さんを多く診ていますが、中には重症~超重症の患者さんまでいます。病状としては高齢になるにつれ、肺炎も重症化する傾向があります。入院期間は14日前後となっていますが、やはり重症度が上がるにつれ、さらに長期化する傾向があります。肺炎のみならず、廃用症候群による体力の低下の影響も大きいと思われます。

※-(ハイフン)・・10症例未満
脳梗塞のICD10別患者数等ファイルをダウンロード
ICD10 傷病名 発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
G45$ 一過性脳虚血発作及び関連症候群 3日以内 14 7.14 70.64 5.88%
その他
G46$ 脳血管疾患における脳の血管(性)症候群 -
I63$ 脳梗塞 3日以内 71 16.32 76.54 17.59%
その他 37 18.41 76.62 10.19%
I65$ 脳実質外動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの -
I66$ 脳動脈の閉塞及び狭窄,脳梗塞に至らなかったもの -
I675 もやもや病<ウイリス動脈輪閉塞症> -
I679 脳血管疾患,詳細不明 - -  -  
 脳梗塞、一過性脳虚血発作で入院する患者さんが多くなっています。
 多くは発症から3日以内のケースであり、入院後は点滴治療と早期からリハビリテーションを開始します。急性期の治療が終了したのち、さらにリハビリテーションを要する方には回復期機能を持つ病院へ転院していただき、ADLの向上を図っています。

※-(ハイフン)・・10症例未満
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) 10 1.60 5.70 0.00% 35.10
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの)  -
K5132 胸腔鏡下肺切除術(その他のもの)
K509-4 気管支瘻孔閉鎖術 -  -  - 
 肺悪性腫瘍(肺癌)や自然気胸に対する胸腔鏡下(内視鏡)手術を行っています。手術症例では、全症例クリニカルパスを使用し、スケジュール管理による入院治療が達成できています。
 胸腔鏡下肺切除術においては、平均入院日数が7日以内で退院できており、早期の社会復帰が可能となっています。

※-(ハイフン)・・10症例未満
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨、上腕、大腿) 142 4.92 19.37 57.75% 81.54
K0811 人工骨頭挿入術(肩、股) 53 6.77 20.68 64.15% 82.74
K0462 骨折観血的手術(前腕、下腿、手舟状骨) 37 2.54 9.68 21.62% 68.80
K0731 関節内骨折観血的手術(肩、股、膝、肘) 27 3.59 21.30 59.26% 77.11
K0463 骨折観血的手術(鎖骨、指、足、膝蓋骨、手(舟状骨を除く) 27 3.81 13.78 22.22% 62.85
 整形外科の平成28年度の手術件数は、468件でした。
 K0461の骨折観血的手術142件のうち、大腿骨骨折による骨接合術が99件、人工骨頭挿入術が53件と高齢者の骨折の治療が主となっています。
続いて、前腕の遠位端骨折(手関節)や下腿の遠位端骨折(足関節)の手術である、関節内骨折の手術を多く行っております。
 高齢者が多いため、術前の検査や術後リハビリテーションに時間が必要であり、日数が長くなっています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 11 3.64 12.64 9.09% 69.09
 脳神経外科の手術は、穿頭手術を主体に行っております。中でも慢性硬膜下血腫が最も多く11例でした。
 慢性硬膜下血腫は、頭部打撲や抗血栓剤服用中に発病することの多い疾患です。高齢者に多く見られます。歩行障害や認知症様の症状を呈することが多く、頭部CTやMRI等の画像診断の普及で、比較的早期に発見されることが多くなってまいりました。
 局所麻酔下に頭蓋骨に1個の穴を穿ち、貯留した血液を吸引洗浄することで治すことが可能です。このような手術は、慢性硬膜下血腫の血腫洗浄術と呼ばれます。
 大部分の方では、手術後速やかに症状は消失し、発病前の状態に戻られます。
 ただ、高齢の患者さんが多いことから、手術後に短期のリハビリテーションを必要とする場合や、諸事情で自宅復帰がかなわず、手術後には転院を余儀なくされる場合もあります。
肛門外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211  内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 54 0.56 1.52 0.00% 68.33
K7462 痔瘻根治手術(複雑なもの) 42 1.64 15.83 0.00% 44.60
K7434 痔核手術(脱肛を含む。)(根治手術) 34 1.09 8.32 0.00% 57.85
K7461 痔瘻根治手術(単純なもの) 23 1.00 5.96 0.00% 40.26
K7522 肛門形成手術(直腸粘膜脱形成手術)
 痔瘻根治術(複雑なもの):深部痔瘻(坐骨直腸窩、高位筋間、骨盤直腸窩)、多発性痔瘻、広範囲臀部膿皮症併存や再発例、シートン留置難治例、クローン病併発例が大部分で、他院からの紹介症例です。発癌予防のため、病変の可及的切除を行い、肛門括約筋温存術を施行しています。その結果、再発例・難治例は10%以下と低く、便失禁の後遺症で問題となる症例は稀です。
 痔瘻根治術(単純なもの):低位筋間痔瘻に対して切開開放術あるいは二次瘻管切除・一次瘻管切離術を行っています。
 内視鏡ポリープ切除は、5㎜~3㎝の大きさで数個までは1回の処置で行っています。
 痔核手術は、抗血栓剤服用中の患者さん、脊椎麻酔不適用の患者さん、透析を要する患者さん、重篤な心疾患をお持ちの患者さん、ADLが低下している患者さんのほか、嵌頓痔核例で他院からの紹介が主体です。
 肛門形成術(直腸粘膜脱形成術) 直腸粘膜脱は、全周性例、内痔核併存例、排便障害例に施行しており、余剰直腸粘膜切除を施行したうえで、内痔核切除術および肛門形成術を付加して行っています。

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泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8036ロ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術(その他のもの)) 31 1.23 5.26 0.00% 72.16
K8412 経尿道的前立腺手術(その他のもの) 11 6.27 9.55 0.00% 77.18
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 - 
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術
K7812 経尿道的尿路結石除去術(その他のもの)
 最も多い膀胱悪性腫瘍手術ですが、尿道から内視鏡を膀胱内へ挿入し、電気メスにて膀胱腫瘍を切除するとともに、腫瘍の深達度なども評価しています。
 次いで、経尿道的前立腺手術は、尿道から内視鏡を挿入し、排尿障害の原因となっている前立腺のこぶ(腺腫)を切除し、尿の通りを良くする手術です。
 また、腎癌や尿管癌に対して内視鏡下で行う手術や水腎症・尿管狭窄に対して尿管から管を入れる尿管ステント留置術も行っています。
 経尿道的尿路結石除去術は尿道より内視鏡を尿管まで挿入し、尿管結石を直性破砕、抽出する手術です。当院の尿管鏡は硬性鏡ですので骨盤の高さより下の下部尿管の結石に対して行っています。
術後の入院日数がやや長いのは、ご高齢の方が多いためと考えられます。
 
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循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 57 4.11 9.86 5.26% 71.11
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 11 5.18 11.45 0.00% 78.18
K5491  経皮的冠動脈ステント留置術(急性心筋梗塞に対するもの)
K5463 経皮的冠動脈形成術(その他のもの)
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症に対するもの) - 
 循環器内科で行う心臓に関する手術は大きく2つに分かれます。
 1つは、心臓血管もしくはその他の血管病(冠動脈や下肢動脈)に対するもので、これはカテーテルという細い管を血管の中で操作して行います。
最終的には狭くなっていたり、詰まったりしている血管に対して専用の風船(バルーン)で血管内の形を整えたりステントというメッシュ状の金属を血管内に留置したりします。メスで傷つけることがなく大きな傷が残らない治療です。
 もう一つは、脈が極端に遅くなり、ペースメーカーが必要となる病気に対して永久ペースメーカー植え込みをするものです。医療技術、器具の進歩に伴い、いずれの手術も安全性が格段に向上しています。

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消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 49 1.08 1.51 0.00% 68.45
K654 内視鏡的消化管止血術 11 0.45 13.64 9.09% 72.82
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。) -  -  -              
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル以上)
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法  -  -  - 
 消化器内科では、検査で見つかった大腸ポリープに対し、内視鏡を使ったポリープ切除を数多く行っています。内視鏡で見ながら、ポリープの下に生理食塩水を注入し、持ち上げてポリープの根元にワイヤーをかけ通電し切除します。大きなものは同様にし分割して切除します。入院期間は基本的に短く、多くは1日で済みます。
 胃・十二指腸潰瘍からの出血に対しては、内視鏡を用いて止血を行います。方法はいくつかあり、出血部に薬を打つ、クリップで挟む、電気で焼灼するなどで止血します。輸血が必要なこともあります。高齢者が多いため、治療期間が2週間程度で長くなりがちです。
 胃瘻造設は色々な病気など口から食事が摂れなくなった方のために、栄養を供給するためお腹の外から胃に穴をあけチューブを留置する処置です。造設後に依頼元の病院へ転院することもあります。
 胸水・腹水濾過濃縮再静注法とは、肝硬変等により、お腹に水が貯まり通常の治療では改善しない場合に、お腹に針を刺して腹水を数リットル抜いて水分を少なくし、タンパク等の必要なものを残し、濃縮させ身体に戻す治療です。病状が悪く、高齢の方も多いため、入院期間が長くなりがちです。

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消化器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 34 3.21 8.82 2.94% 60.50
K633 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) 29 1.72 5.10 3.45% 71.55
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 12 2.17 14.58 16.67% 68.92
K634 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 10 1.10 2.90 10.00% 70.80
K718-21 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 10 0.80 4.30 0.00% 33.60
 消化器外科手術件数において最も多いものは、胆石症や急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術です。緊急性の高い急性胆嚢炎症例に対しても早期手術が可能な体制を整えており、良好な術後成績が得られています。
 2番目に多い鼠径ヘルニアに対するヘルニア根治術にも当科では力を入れており、従来法の手術に加え、2014年より腹腔鏡手術を導入しています。これにより患者さんの負担はより軽くなり、入院期間の短縮にもつながっています。なお、胆嚢摘出術、鼠径ヘルニア、虫垂炎手術に関しては、クリニカルパスを導入し、治療法の均一化を図ることで入院期間の短縮と医療の安全性を高めています。
 総胆管結石症に対する内視鏡的胆道ステント留置術については、この疾患の性質や高齢者に多い疾患であることから、入院期間も他疾患に比べ長い傾向にあります。その他、表に示す以外に、胃癌や大腸癌、肝癌、胆管癌、すい臓癌に対しても治療体制を整えています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 15 0.41%
異なる -  
手術・処置等の合併症は、傷病に対して手術や処置を行った後、ある確率で不可避に生じる病気や症状(合併症)であり、当院で多いのは、人工関節のゆるみや脱臼(5例)、次いで術後感染症(4例)、出血、縫合不全の順となっています。
人工関節のゆるみ・脱臼は、摩耗による骨融解、過度な身体活動により起こります。
術後創部の感染症の予防には細心の注意を払っていますが、年に数件は発生しています。
しかしながら、発生率は1%未満であり低いと言えます。

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更新履歴
2017/9/29
病院情報を公開しました。 > 平成27年度の「病院指標」はこちらからご覧いただけます。