お知らせ
前立腺肥大症のWAVE治療(経尿道的水蒸気治療)について
― WAVE治療(経尿道的水蒸気治療)とは
WAVE治療(Water Vapor Energy Therapy:経尿道的水蒸気治療)は、前立腺肥大症(BPH)のための治療方法で、肥大した部分に水蒸気を注入し、その熱を利用して前立腺を退縮させる低侵襲な治療方法です。
日本では比較的新しい治療方法であり、当院では治療機器にBoston Scientific社のRezūmシステムを用いておりますが、福岡県福岡市内では4番目、早良区では1番目の導入施設となります。
前立腺内に送り込まれる水蒸気は103℃ですが、体温で冷やされ水に戻ります。
この時、発せられる熱エネルギーが肥大組織に影響し、細胞を壊します。
壊死した細胞が1-3か月をかけて自然に体内に吸収されることで、BPHの症状を和らげます。
WAVE治療のイメージ動画
(ボストン・サイエンティフィックジャパンご提供)
― WAVE治療の流れ
WAVE治療は、水蒸気を生成する専用の装置を使用して、肥大した前立腺組織に直接水蒸気を注入します。● 尿道カテーテルの留置について
WAVE治療は、水蒸気の熱エネルギーを使用するため、前立腺組織の温度が上がり、
浮腫(腫れ)を起こします。
尿道に浮腫がある間に尿閉にならいよう一定期間、尿道カテーテルを留置します。
留置期間は患者さんの症状や前立腺の状態によって異なるため、担当医によって検討されます。
― よくある質問
Q新しい治療方法ですが安全ですか?
日本では行政の承認を2021年に取得しましたが、欧米では10年近い実績があり、
治療の効果が保たれていることが示されている治療法です。
詳しくは担当医にお尋ねください。
Qどのような人がWAVE治療の適応になりますか?
身体への負担が比較的少なく低侵襲であることから、合併症のリスクが高い方やご高齢、認知機能障害の方など、術後の身体機能低下リスクが高い方が検討されます。
詳しくは担当医にお尋ねください。
Q抗血栓薬(抗血小板薬・抗凝固薬)を服用していますが、 WAVE治療を受けることはできますか?
本治療のガイドラインでは、休薬が困難な場合は注意して施行すること、とされています。
担当医にご相談ください。
QWAVE治療は性機能に影響しますか?
本治療を行ったことによる新たな勃起障害は報告されていません。
射精障害については逆行性射精(精射の際に精液が膀胱側に流れるもの)が約3%程度発生しますが、比較的低い発生頻度です。
Q手術時間はどれくらいですか?
治療が必要な肥大組織の形状や位置にもよりますが、大体10分程度です。
なお、麻酔を含めた時間は、麻酔の種類により異なります。
Qどのような麻酔を行いますか?
局所麻酔、腰椎麻酔、全身麻酔いずれでも実施実績はありますが、
患者さんに適した麻酔方法を担当医が考慮します。
QWAVE治療の効果はいつごろから実感できますか?
水蒸気によって壊死した組織が体内に吸収され始めると、それに伴って症状の改善が見られます。
組織の自然吸収は、患者さんによって異なりますが術後数週間から1か月後から始まります。
Q効果はどのくらい持続しますか?
米国で実施された臨床試験では、IPSSやQOLスコアといった症状の改善度合いを示す指標が5年後も持続していました。
また、5年間の再手術率も4.4%と低い数値が報告されています。
Q術後も前立腺肥大症の薬を継続して服用する必要はありますか?
肥大組織の自然吸収を待っている期間中は、薬の継続服用の指示が担当医からある場合があります。
適切な投薬計画については担当医にご相談ください。
QWAVE治療にはどのようなリスクがありますか?
WAVE治療で主にみられる術後の合併症には、排尿時の痛みなどの排尿障害、血尿、
精液に血が混じる血精液症などが含まれます。
QWAVE治療は保険適用されていますか?
はい。日本では2022年に保険適用を受けました。また、高額療養費制度の対象にもなります。
お知らせ
● 当院は、救急指定病院・開放型病院・在宅療養支援病院であり、DPC(診断群分類包括評価制度)を導入しております。
● 敷地内全面禁煙です。